世界遺産 バダインジャラン砂漠 ― 砂の塔と湖群
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Photo by © Badain Jaran Nature Reserve
バダインジャラン砂漠 ― 砂の塔と湖群について
世界最高峰の「砂の塔」とメガ砂丘
この砂漠を象徴するのは、標高差が約460メートル(絶対標高では1,600メートル以上)に達する、世界最大の「メガ砂丘」である。特に最高峰の必魯図(ピルトゥ)峰は、その圧倒的な高さから「砂漠のエベレスト」とも称される。風によって堆積した砂がこれほどの垂直な高さを維持し続け、かつ数千年にわたって安定した形状を保つメカニズムは、世界の砂丘地帯の中でも特出した地質学的価値を有している。
砂漠の概念を覆す「百の湖」の風景
最大の特徴は、極度に乾燥した環境でありながら、砂丘の合間に恒久的な湖が多数存在することである。これらの湖は、遠く離れた山脈から地層深くを通って湧き出した地下水によって維持されている。純白に近い砂丘、深く澄んだ青い湖、そして湖畔にわずかに息づく緑の植生が織りなす鮮烈な色彩のコントラストは、比類なき自然の美(登録基準vii)として高く評価されている。
世界最大級の「鳴き砂」と音の現象
バダインジャランは、砂が鳴る現象である「鳴き砂」の規模と音量の大きさでも世界的に知られている。風や砂の滑落によって生じる地鳴りのような重低音は、広大な範囲で確認され、古くからこの地の神秘性を高めてきた。この音響現象は、砂粒のサイズや湿度の条件が完璧に揃った環境でしか発生せず、砂漠の物理的特性を示す興味深い証拠となっている。
地下水系と地質のダイナミズム
地質学的には、砂丘の下に隠された複雑な地下水系と、固定・半固定砂丘の構造が重要な研究対象となっている。移動し続ける流動砂丘が多い中で、ここのメガ砂丘が安定を保っているのは、内部の湿り気が砂を固定しているためだと考えられている。砂漠の形成、気候変動の歴史、そして水文学的なプロセスが密接に関係し合うこの地域は、地球の進化を知る上での貴重な自然の実験場としての役割(登録基準viii)を果たしている。
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